学校日記 はまだっ子の様子

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2024/07/12

6年 落ちてもあわてないで

Tweet ThisSend to Facebook | by 学校長
もうすぐ夏休み。
水辺で遊ぶ機会が増える時季です。
海水浴、川遊び、釣り・・・。
どれも、とても楽しいことですが、危険もいっぱい潜んでいて、週末には痛ましい事故のニュースがしばしば流されます。
あってはならない、“もしも”のときに、あわてず命を守る行動がとれるよう、衣服を着たままの“着衣泳”を体験し、安全につながる方法を学びました。

これらのことを6年生に教えてくれたのは、体育の指導を専門とする元小学校の先生。
今も、市内の小学校で体育の指導に携わるY先生です。
この時間のねらいは
「衣服を着たまま不意に水に落ちても、あわてないで対応しよう」
まずは、着衣のままで水の中に入って、“動きにくさ”を体感しました。
衣服の上下と靴下を身につけて水の中に入った子どもたちは、プールサイドとプール中央に柵の間を歩き、走り、そして泳ぎます。
クロールで、次は平泳ぎで。
服とズボンがぴったりと体に張り付いて手足の動きの邪魔をし、思うようには泳げません。
波や流れのあるところだと、息継ぎはさらに難しくなるでしょう。
呼吸を確保しやすい泳ぎとして“犬かき”もやってみましたが、着衣のままのこんな状態で泳ぐのはとても体力がいることであって、流れに逆らって岸まで泳ぐなんてとんでもないことだということが身をもってわかったことでしょう。
だからこそ、着衣のまま水の中に落ちたときは、速く泳ぐことよりも、浮き身で長い時間浮くことが大切。
浮いて、助けを待つのです。

先生の手本を見た子どもたちは、早速チャレンジ。
空を見上げて、大の字に手足を広げ、水面に仰向けになるように水に体を委ねる子どもたち。
プカーン
プカリプカリ
と、いいたいところですが、すぐに足から沈んでしまう子、顔が水の中に入って立ち上がる子がほとんど。
うまく浮けた子はほんのわずかでした。

もう一度先生の元に集まって、コツを聞くとともに、補助の仕方も教わりました。
再び、ペアで背背浮きに挑戦。
大きく息を吸ってから、顎を上げてほっぺギリギリまで沈み、空を見上げます。
手と足は、力を抜いて広げます。
両手を前に出して体を支えているペアの子は、様子を見て片手ずつ離していきます。
すると、さっきよりも長い時間浮いていられる子がぐんと増えるとともに、衣服と体の間に空気が入るとさらに浮きやすいことを見つける子が何人もいました。
ここで、もう一つ教わったのが“イカ泳ぎ”。
正式名称「エレメンタリーバックストローク」です。
背浮きの状態で、脚は平泳ぎの動きをし、腕は肩の横から水を後ろに押すように腰まで動かす泳ぎ方です。
平泳ぎの要領で、足の裏でしっかり水を押してやると、意外にもスイーッと進みます。
さらに腕の動きをつけて手のひらでも水を押すと推力が増します。
これなら呼吸もしやすいので、着衣のままでもある程度長く浮き、移動することもできますね。

次は、水中に落ちてしまった人を助けるための行動です。
自分が泳いで助けにいくことは、絶対にだめ。
できることは、大きな声で助けを呼ぶこと、119番通報すること、浮くものを投げることです。
ペットボトル、ボール、バケツ、袋
とにかく、浮きそうなものを探して投げる。
ロープがあればそれに結んで。
ペットボトルには、少し水を入れると方向が安定し、遠くまで投げられます。
これらのことを踏まえて、子どもたちも用意したペットボトルで体験。
再び水の中に入った子どもたちは、ペットボトルを活用した背浮きに挑戦。
両手でしっかり胸に抱きかかえる。
服の中に入れる。
枕のように頭の後ろに当てる。
横にして、腰のあたりで押さえる。
2本のペットボトルを左右の脇の下に抱える。
いろんな方法を試して、たった1本のペットボトルで体が浮くことを体感し、どこでどんなふうに持つと、より楽に安定して浮いていられるか探っていました。
横2列に、2分間浮き続けることを目標にして一斉に背浮きをしてみると、ほぼ全員が成功しました。

活動の最後は、いろんなものを使って、“浮く”ことをいっぱい体験する時間です。
ボールやウレタンのバーなど形や素材の違うものも用いて、楽しみながら“ものを活用して浮く”ことを体感しました。

水辺で遊ぶときは、もしもの時の備えとして“ライフジャケット”を正しく身につけることはいうまでもありませんが、いつ、どんなことで水の中に落ちてしまうかわかりません。
そんなときは、“浮いて待て”。
これが、最善の方法です。
着衣のまま水に入るとどうなるかを身をもって知るとともに、“背浮き”“イカ泳ぎ”“浮くものを投げる”という命を守る術を実習して学んだことで、危険を避けて命を守ろうとする安全意識を高め、万が一命の危険にさらされても、少しでもあわてず落ち着いて、命を守る行動をとってほしいと願って、この実習学習を続けています。

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