四日市市立保々中学校
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2023/12/07

3年生より 人権学習「就職」その2

| by 保々中職員
本日6限目、前回の続きということで実際の就職面接の際に使われていたチェックシートを見て交流しました。
「面接試験で不利になったら嫌だから、ウソついてしまうかも」「なんでこんなこと聞くのだろう」「自分は特に気にならないけど、この項目で不利になってしまう人もいるってことだよね」など、様々な意見が出ました。
それを踏まえ、統一応募用紙の取り組みについても学習しました。「自分には関係ない、差別していないから」という自分はいないだろうか、自分はこれからどうしていきたいのかということを考える機会となりました。



以下、本日紹介した統一応募用紙の取り組みについてです。

<エピソード1 関西での取り組み>

 被差別部落出身である生徒が、希望する企業の就職応募用紙(社用紙)を記入しようとして、ペンが止まってしまった。「本籍地」「家族構成」「卒業学校および職業」などの項目を前にしてである。もし、本当のことを書いたらどうなるのか。部落出身であることが知られるのではないか。その生徒の思いや悩みに教師は気づかなかったのである。

 生徒の「ペンが止まってしまった」という思いに触れ、関西の高校の教職員たちは「社用紙」の項目を一つ一つ点検し始めました。点検をしていると、これまで「社用紙」の差別性を見逃し、平気で書かせてきたことへの深い後悔が生まれてきます。そして、「二度とこのようなものを提出させない」という気持ちに変わり、これまでの進路指導を見直していきます。

 そんな学校の取組が教育委員会や労働行政を動かし、さらに近畿各県へと広がり、『近畿統一応募用紙』の制定を実現していきます。その後、この運動は全国にも広がり、何度か改訂されてきました。中でも、1996年の「本籍地」「家族構成」の欄の削除、2005年の「保護者氏名欄」の削除は、差別選考をさせないための画期的な改訂でした。

<エピソード2 三重での取り組み>

 両親が離婚し、5歳のときから施設で生活してきた生徒は、就職の応募用紙の記入のときに、担任と相談しながらずいぶん辛い思いをし、結局、「保護者氏名欄」を空欄のまま提出しました。面接試験では「なぜ空欄なのか」と聞かれ、この生徒にとっては、とてもしんどい面接となりました。
 この生徒の担任は、この事実をきっかけに、多くの仲間とともに機会があるごとに声を上げていきます。そして、多くの関係機関との連携のもと、「保護者氏名欄」に全員が斜線を引く取組を実現していきました。また、教職員の学習会も積み重ね、『統一応募用紙』のねらいや「保護者氏名欄」に斜線を引く意味についての理解も深めてきました。


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