保健だより(のびやか)6月号より
思春期と言われる中学生から高校生の時期は身体が急速に発育・発達するだけではなく、特に女子は女性ホルモンが増量されることで口腔内に変調をきたしやすくなっています。
口臭がひどくなる原因として、学校生活や人間関係による緊張やストレスで自律神経が乱れることも関係していると言われています。
1.すみずみまでしっかりと歯みがきしていますか?
ブラッシング不足で溜まった食べ物のカスが原因で虫歯や歯周病になると、そこから口臭が発生します。
歯ブラシだけで歯磨きをしても、40%がみがき残しになると言われています。磨き残しがより少ない歯みがきをするには、デンタルフロスや歯間ブラシを使うことが必要です。食べカスや歯垢をより取り除くことができますので、ぜひ使ってみてください。
口の中の磨き残しが口腔細菌によって分解されることで、さまざまなニオイ物質が発生します。また、磨き残しによって歯周病になってしまうと深い歯周ポケット(歯ぐきと歯の間の溝が深くなる)が形成され、より口臭がひどい状態になります。
虫歯や歯周病は放置していても治ることはないので歯科医院を受診しましょう。歯周病による口臭は歯周ポケットを3mm以内に改善し、歯肉の炎症がなくなれば口臭が解消していきます。
歯石の除去をしてもらうと、口臭が発生しにくい口の中を保ちやすくなります。
2. 口呼吸やストレスで口の中が乾燥していませんか?
口が常に開いていると口の中が乾燥して、唾液がうまく口の中を行き渡らなくなります。唾液の分泌が減少すると細菌が増殖します。増えた細菌は口臭の原因物質である揮発性硫黄化合物を多く生成し、口臭が発生します。揮発性硫黄化合物は玉ねぎ・生ごみ・卵の腐ったようなにおいと表現されることがあります。
口が開いてしまう原因としては、口元の筋力が弱いため口が閉じられないことや、慢性的な鼻づまりが原因になっていることもあります。
またストレスでも、自律神経が乱れて唾液の分泌が減少する原因となります。
過労・睡眠不足・緊張・ストレスなどによる唾液の減少は、口の中の自浄作用を低下させて口臭を発生させる原因となります。規則正しい生活やバランスの整った食生活につとめ、十分な水分補給をすることが大切です。
3.よく噛んで食べていますか?
よく噛んで食べることで口の周りの唾液腺が活発になります。食事には食物繊維が豊富で歯ごたえのある食材を使うと自然と噛む回数が増えます。咀嚼回数の目標は一口20回。食べ物を水やお茶で流し込まないように注意しましょう。
4.ホルモンバランスが乱れやすくなっています
中学生になると性ホルモンの働きが活発になり、第2次性徴が顕著になります。特に思春期の女子は女性ホルモン急増の影響により、同じ時期の男子と比べて口や腸の状態に変調を来しやすいと言われています。
口臭や腸の状態変化による便秘・下痢を防ぐためにはホルモンバランスを整える必要があります。運動や規則正しい生活が大切です。
5.腸の働きが極めて不安定になりやすい状態です
思春期はホルモンバランスや心身の変化が激しくなります。また、スマホやゲームなどによる生活習慣の乱れにより、腸内環境が非常に乱れやすい時期でもあります。腸内細菌のバランスが崩れて悪玉菌が増殖すると、悪玉菌が腸内の食べカスを分解し、「うんちの臭い」「おならの臭い」「ドブのような臭い」などと例えられる悪臭が大量に発生します。その悪臭は腸壁から吸収されて血液とともに体中をめぐり、その一部が肺でのガス交換で息となって排出されてしまい、口臭となってしまいます。
口臭予防には歯みがき等のお口のケアだけでなく、生活習慣の見直しや体調を整える努力も加えていく必要があります。
腸内で悪臭を発生させないためには、生活習慣を整えることとあわせて、善玉菌を増やす食事心がけることが大事です。ビフィズス菌や乳酸菌などの有用菌で構成される「プロバイオティクス」と有用菌を育てるオリゴ糖や食物繊維の「プレバイオティクス」を摂取できるような食事が望ましいと言われています。
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