5月20日(月)、保健だより「のびやか」5月号を発行しました。以下に内容を紹介します。なお、印刷して配付したものには図とフリガナも付いています。
【のびやか 5月号】
勉強、ゲーム、スマホなど夜更かしの理由はいろいろありますが、ぜひとも早く就寝してほしいと思います。7時に起きるのなら、11時に布団に入れば8時間の睡眠がとれます。睡眠をとることで学習も定着し、スポーツも上達するのです。
レム睡眠とノンレム睡眠
睡眠が疲労)回復に重要な役割を担っていることは誰もが知っているところだと思います。疲労回復にはレム睡眠とノンレム睡眠という2つの睡眠が深くかかわっています。レム睡眠)とノンレム睡眠は脳波と眼球の動きで区別されます(レム睡眠の時は眠っているのに眼球が動いている時があります)
レム睡眠のREM(レム)はrapid eye movement の頭文字です。
レム睡眠は眼球と脳波は起きている時と同様に活発に活動しているが体は脱力している状態。つまり「体は休んでいるが脳は活動している状態」の浅い睡眠のことです。
一方、ノンレム睡眠は「体も脳も休んでいる状態」の深い眠りと言われている状態のことです。
レム睡眠とノンレム睡眠を繰り返して眠る
人は一晩でレム睡眠とノンレム睡眠を繰り返して朝を迎えます。
朝方に向けてノンレム睡眠が浅くなっていきながら、レム睡眠とノンレム睡眠のサイクルを5~6回繰り返して朝を迎えます。
睡眠の3つの役割
★ 睡眠の役割① 疲労を回復する
眠ってすぐには脳や体が疲れているので深いノンレム睡眠となり、この時にたくさんの成長ホルモンが分泌されます。
成長ホルモンはからだの成長を促すだけでなく、傷ついた細胞の修復や免疫機能の強化、代謝の促進を促す働きがあり、疲労回復には欠かせません。
疲労は睡眠時間に比例して回復します。睡眠が不足すると体の成長が進まないだけでなく、風邪をひきやすくなったりして、体調面で好ましくない影響が出ます。
★睡眠の役割② 脳のメンテナンスをする
眠っている間に脳では「オートファジー」が活発に行われています。これは細胞自身が傷ついた部分や異常な構造になった部分を修復したり、除去したりする作用のことです。昼間の活動で消費したエネルギーの燃えカスをノンレム睡眠中に髄液に排出する働きもあります。
このように脳は睡眠中に機械的なメンテナンスを行っています。
適切な睡眠をとっていない状態は、何日もの間、長時間にわたってシャットダウンせずにいるパソコンと同じです。思考や感情のコントロールの速度が遅くなったり、誤解や思い違い等の不適切な処理を行ったりする危険があります。
心や感情を安定させるためには睡眠が大切です
★睡眠の役割③ 記憶する
睡眠は記憶の形成にも重要な働きを担っています。
体が覚える
スポーツの動作や楽器の演奏など、何度も繰り返し練習するとしたことが、浅いノンレム睡眠の時に頭の中で新しい神経回路ができ上って記憶として固定されます。
練習したことはよく眠ることで、一層、上手になっていくのです。
脳が覚える
数学や英語など学習したことは一旦、短期記憶として雑然と記憶されます。短期記憶はレム睡眠中に過去の記憶と関連づけられて、思い出しやすいように見出しを付けて整理され長期記憶として脳に固定されます。
嫌な記憶を忘れる
睡眠には記憶を消し去る機能もあります。深いノンレム睡眠では嫌なことや怖かったことを記憶として固定しないような仕組みもあります。
「寝て忘れる」ことで体や心を守っているのです。くよくよしていたことも「寝たらすっきりした」ということもありますよね。
一晩の睡眠では、前半が深いノンレム睡眠、後半には朝方にむけてノンレム睡眠もだんだんと浅くなってきます。前半では、疲労の回復、体の成長、嫌なことを忘れる等の作用が行われ、後半では学習や技術の習得がなされます。8時間程度、睡眠がとれれば、深いノンレム睡眠と浅いノンレムの両方が出現し、さらには朝方に長いレム睡眠も出現します。
疲労回復 体の成長 技術の上達や知識の蓄積は十分な睡眠時間を確保してこそ望めるのです。
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